FXの時間帯別トレード戦略|ロンドン時間とは?

FXでは世界各国の市場で通貨が取引されていますが、どの国の市場でも同じ量の通貨が取引されているわけではありません。

FX市場の中でも特に取引量が多いのが3つあり、それらの市場を「世界三大市場」と呼びます。

それが東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場です。

これらの市場にはそれぞれ特徴があり、それぞれの市場が開いている時間帯により、通貨の動きが変わるため、FXではそれぞれの市場が開いている時間帯を日本時間(東京時間)、ロンドン時間、ニューヨーク時間と呼びます。

その中でも、特に通貨の取引量が多いのがロンドン時間なのです。

そこで今回はロンドン時間の特徴や攻略手法について解説していきます。

FXをやるうえで、通貨の取引量が多い時間帯は儲けるチャンスだと言えるのでロンドン時間について学ばずにトレードを行わなければ、儲けるチャンスを自分で捨てているのと同じです。

ぜひ、ここで学んで、実践してみてください。

ロンドン時間の特徴

 

ロンドン時間は欧州を中心として中東や、アフリカ市場も開いている時間帯です。

さらに前半は日本時間とも1時間ほど被っていますし、後半はニューヨーク時間とも被っています。

そのため、通貨の取引量が多く、取引も活発な時間帯です。

 

ロンドン時間とは

ロンドンと日本では夏時間(3月第2日曜日〜11月の第1日曜日)だと8時間、冬時間(11月の第1日曜日〜3月第2日曜日)の場合は9時間の時差があります。

つまりロンドン時間とは、日本時間で、16時〜0時(夏時間)、17時〜1時(冬時間)の時間帯のことを言います。

 

ロンドン時間の値動き

ロンドン時間の通貨の取引量の多さは、欧州、中東、アフリカ市場に加え、日本市場とニューヨーク市場が開いている時間帯と被っていることが一番の理由となります。

つまり、ロンドン時間では、日本時間とニューヨーク時間が被っている時間帯に為替レートが動きやすいのです。

実際に為替レートが動きやすい時間帯を表にまとめましたので、ご確認ください。

レートが動く時間帯 前半(日本時間と被る) 後半(ニューヨーク時間と被る)
夏時間 16時〜17時まで 21時〜23時まで
冬時間 17時〜19時まで 22時〜1時まで

ロンドン時間が日本時間とニューヨーク時間と被る時間帯は、夏時間と冬時間で変わってきますので、注意が必要となります。

ロンドン時間の通貨の取引量が多い理由

ロンドン時間の通貨の取引量が多い理由は、同時に開いている市場が多いという理由だけではありません。

ロンドンは古くから金融の中心地として知られていて、様々な金融商品が取引されています。

結果、為替以外の金融商品の取引量がロンドン時間の通貨の取引量の多さに影響を与えています。

為替以外の金融商品で大きく影響を与えるのが、貴金属の現物取引と、ヘッジファンドです。

まず、貴金属の現物取引ですが、ロンドンは貴金属の現物取引量が多く、特に金の現物取引では世界の中心となっています。

貴金属の現物取引にも通貨が使用されるため、貴金属の現物取引の動向がロンドン時間の為替にも影響を与えることになるのです。

次にヘッジファンドですが、ヘッジファンドとは出資者から集めたお金をプロが運用する資産運用方法です。

イギリスでは国民の多くが、個人資産を投資運用して、金融資産として保持しています。

結果として、ヘッジファンドも他の国に比べると多い傾向にあります。

イギリス国民が投資しているヘッジファンドはロンドン時間内にプロによって運用されているので、その運用結果は、ロンドン時間の通貨の取引量に大きな影響を与えるのです。

また、それ以外にもイギリスは歴史的に、中東との関わりが強いので、中東の莫大なオイルマネーがロンドン市場に入ってくることがあります。

この莫大なオイルマネーもロンドン時間の通貨の取引量の多さに大きな影響を与えています。

このようにロンドン時間では、為替以外の様々な金融商品や要素が為替レートに影響を与えていますので、為替以外の要素も確認しておく必要があります。

金融政策が重要

ロンドン時間で重要なのは、欧州単一市場(EU)の中央銀行である「ECB(European Central Bank/欧州中央銀行)」とロンドン市場(イギリス)の中央銀行である「BOE(Bank of England/英中央銀行)」から発表される金融政策です。

ECBの金融政策はユーロに、BOEの金融政策は、ポンドの値動きに大きな影響を与えます。

ロンドン時間では、各中央銀行から発表される金融政策を見逃さないように注意しておいてください。

ポンドには要注意

イギリスの通貨である「ポンド」は、動きが非常に読みにくいうえに、「暴れ馬」と言われるほどの激しい値動きをします。

うかつに手を出すと大きな損をしてしまうので、トレードをするときは、注意が必要です。
しっかりポンドのことを理解したうえでトレードを行いましょう。
ポンドが激しい動きをする理由は下記の3つです。

ポンドは投資目的の売買が多い

「ポンド」は世界的に見ると取引量が少ない通貨ですが、FXで扱う通貨としては非常に人気があります。
そのことからポンドの取り扱いは実需よりも投資目的の売買が多くを占めており、実需による調整が働きにくいため、値動きが大きくなりがちなんです。

レートが高い

ポンドのレートは他の通貨に比べると高くなっているので、トレードするために必要な元本の資金が大きいことが、ポンドの値動きを大きくしている理由のひとつです。

ドルとの関連性

「ポンド/円」などの円絡みの通貨ペア(通称クロス円)は「円→ドル→ポンド」とドルを間に挟んで換算しています。

「ポンド/ドル」なら動きを読みやすいですが、私たちに馴染みのある「円」を使った「ポンド/円」ではドルと円の通貨ペアも気にする必要が出てくるため、動きを読むことは非常に難しくなります。

例えば「ポンド/ドル」だとポンド高になっているが、「ドル/円」だと円高になっている場合、「ポンド/円」だとどういう動きになるのか読むのは難しいです。

このような理由から、ポンドは値動きが大きいので、一度に儲かる額も大きく、FXでは人気の通貨となっています。

逆にポンドは値動きが大きく、動きが読みにくいため、一歩間違えると大きな損に繋がってしまいます。

大きな利益を出すためにポンドのトレードをして、大きな損をしてしまっていては、本末転倒です。
しっかりポンドについて研究して「暴れ馬」を乗りこなしましょう。

ロンドン時間のトレード戦略

ロンドン時間は、FX市場参加者が多く、通貨の取引量が多い時間帯のため、様々な要素が組み合わさっています。

そのため、何も学ばずにトレードを行えば、何が原因かも分からないまま、大きな損をしてしまうでしょう。

逆に、しっかりとロンドン時間について学んで、トレードを行えば、多くの利益を得ることができる魅力的な時間帯でもあります。

そこで、実際にロンドン時間でトレードをやるためのトレード戦略を解説していきます。

しっかり学ベば、ロンドン時間で勝てるトレーダーになれるでしょう。

ファンダメンタルズ分析

ロンドン時間でトレードをやるうえでは、国の経済活動の状況を分析する「ファンダメンタルズ分析」が大事になります。

ロンドン時間は様々な要素が重なり合った時間帯なので、「なぜレートがこの値動きをしているのか」の根本的な理由を分析していかないと、レートの動きを読むことができません。
ここからはロンドン時間にファンダメンタルズ分析をやるうえで、特に重要な2つの要素を解説していきます。

金融政策に注目する

ロンドン時間では、「ECB(European Central Bank/欧州中央銀行)」と「BOE(Bank of England/英中央銀行)」の金融政策が値動きに大きな影響を与えます。

それぞれの金融政策が市場にどのような影響を与えるかは、中央銀行が発表する「量的緩和策」「緊縮財政策」「政策金利発表」などの金融政策がFX市場にとって歓迎されるのか、されないのかを考えていく必要があるのです。

例えばポンドの価値が上がっているところで、政策金利の引き下げが行われれば、ポンドを持っておくメリットは無くなるので、ポンドの価値は落ちるでしょう。

また政策により、ようやく景気が上向いてきたところで、国債の購入額の減額が行われた場合はどうなるでしょうか。
これはユーロの例ですが、もし減額が行われれば、ユーロの価値が落ちると予想できます。

この例で見ると、中央銀行から発表された金融政策は、FX市場から歓迎されていないので、通貨の価値が落ちていることが分かります。
逆にFX市場が歓迎するような、金融政策が実施されれば、通貨の価値は上昇するでしょう。

ポイントはその政策がFX市場を歓迎しているかどうかです。

このように中央銀行から発表される金融政策は、値動きに大きな影響を与えます。

中央銀行から発表される金融政策については、必ずチェックするようにしてください。

政治情勢に注目する

政治情勢もFXにおいては重要な要素のひとつであり、ポイントは政治情勢のニュースをFX市場参加者がどう受け取るかを考えるこです。

実際のニュースを例に出します。

現在、FX市場で一番注目されているのが、イギリスのEU離脱問題です。

この問題はイギリスが移民受け入れに制限をかけるために、EUを離脱しようとしているという政治問題です。
実際にEUを離脱する法案が、イギリス議会で可決されたというニュースが発表されたときは、このニュースによりポンドの価値は大暴落しました。

イギリスがEUを離脱すれば、世界から見たイギリスの信用を下げることになるので、国の信用が下がると同時に、イギリスの通貨であるポンドの価値を下げてしまったのです。

この例であれば、イギリスのEU離脱のニュースを受けて、FX市場ではポンドの価値が下がると判断したということになります。

しかし、このニュースには続きがあり、現在ではFX市場の反応が変わってきているのです。
現在では、EU離脱法案が可決されている以上、どのように離脱するかという問題にFX市場の関心がシフトしています。

今、一番FX市場が関心を持っているのは、ロンドン市場とEUのアクセスが無くなってしまうかどうかです。

イギリスがEUを離脱したとしても、関税がかからなかったり、EU離脱前と同じように取引が可能ならば、EUを離脱してもイギリスにとっては移民を受け入れなくて良いメリットの方が大きいので、むしろ今までよりも、良い状況になります。

逆に今まで通りの取引が出来なければ、輸入輸出のたびに関税がかかったりと、イギリスの経済が受けるダメージは計り知れません。

現在のFX市場ではEU離脱は前提に、イギリスとEUがどのような取り決めで、EU離脱を離脱するのかに注目が集まっています。

つまり「ハードブレグジット」と言われる欧州単一市場へのアクセスを無くしてのEU離脱が行われれば、ポンドの価値は、大暴落、逆に「ソフトブレグジット」と言われるアクセスは残したままで、移民受け入れにのみ制限をかけるのであれば、ポンドの価値は急騰すると思われます。

このように、FX市場の受け取り方や関心は、状況が変わるにつれて変化していきます。

今回の場合で言えばイギリスがEUを離脱するのだから、ポンドの価値が落ち続けるわけではありません。

イギリスがEUを離脱することは納得したうえで、次の状況がどうなるかにFX市場は関心を持っています。

FXの世界ではこれを「織り込み済み」と言います。

すでにEU離脱はFX市場からすると「織り込み済み」なので、次の観点にシフトしているのです。

このように政治情勢からレートの動きを予想するためには常に最新の状況を理解しておく必要があります。

特にロンドン時間では、EUがある影響で、政治情勢が重要になってくるので、ニュースは見逃さないようにしましょう。

通貨ペアを考える

ロンドン時間の主役は「ユーロ」です。
基本的には、ユーロの値動きが大きく利益を取りやすいので、ユーロが絡む、通貨ペアでのトレードを行いましょう。

値動きが激しく、読みにくいポンドも「ユーロ/ポンド」の通貨ペアであれば、同じ欧州内の通貨なので、どちらかが一方的に売買されることもなく、値動きが比較的に読みやすくなります。

トレンドの形成

ロンドン時間の特徴として、日本時間からロンドン時間になった途端に一気にトレンド形成をすることがあります。

日本時間の通貨の取引量は多くありません。
そこに豊富な資金を持った欧州のトレーダーたちが、一気に参加してくるため、日本時間のレートを無視したトレンドが形成されます。

なので、ロンドン時間が始まる前からポジションを持っている場合は、一旦ロンドン時間に入る前に決済することをおすすめします。

そのあとは、ロンドン時間が始まってから形成されたトレンドについていく「トレンドフォロー」を基本戦略としてください。

ひとつだけ注意が必要なのは、ロンドン時間の途中からニューヨーク時間がスタートすることです。

ニューヨーク時間に入ることによってトレンドの流れが一気に変わることがあります。

これにより、ニューヨーク時間がスタートする前にはもう一度、ポジションを解消することをおすすめします。
世界中のトレーダーもニューヨーク時間に入る前には一度ポジションを解消する傾向にありますので、一番良いタイミングだと言えるでしょう。

そして、ニューヨーク時間で再形成したトレンドを再びトレンドフォローしていきます。

これがロンドン時間の基本戦略となります。

ロンドン・フィキシング

ロンドン・フィキシングとは、24時(夏時間)、25時(冬時間)に「金」の仲値を決めることです。

仲値とは金融商品を取引するときの、基準になるレートのことです。
ロンドン・フィキシングで決まった金の仲値は世界的な金の価格指標となります。

ロンドン時間の特徴で、ロンドンは為替以外の金融商品の取引が盛んで、特に金の取引では世界の中心となっていることが、為替の取引量に影響を与えていると説明しました。

金の仲値が決まって、金の取引が行われるときに、金の決済通貨には「ドル」が使われています。
つまり、金の取引が行われるということは、為替相場にも大きな影響が出るのです。

つまりロンドン・フィキシングと為替の相関性を理解すればトレード手法として利用することができるのです。

ロンドン・フィキシングを利用したトレード手法

仲値は金融商品を取引するときに基準となるレートなので、金融機関にとっては、できるだけ価格が高い方が都合が良いものです。

それはロンドン・フィキシングも同じで、仲値が決まる直前になると、金の価格が上昇する傾向にあります。

金の価格を上げるためには金を買うことになるので、決済通貨であるドルを使って金を買います。

これをFXに当てはめると、「金/ドル」の通貨ペアにおける「買い」のようなイメージになります。

つまり金の価値が上がる=ドルは売られるので、ドル安になるということです。

この傾向を利用すると、ロンドンフィキシングの約1時間前くらいからドル絡みの通貨ペアでドル安方向に注文を入れておけば、勝つ確率が高くなります。

例えば、「ポンド/ドル」だとポンドの買い(=ドル安)です。

また、月末になると、イギリス企業が決済通貨として利用するためにポンドを買い戻すので、その動きと重なると、より多くの利幅を狙うことができます。

【まとめ】ロンドン時間で勝てるトレーダーになる

ロンドン市場は世界中の市場の中で、取引量の約30%を占める市場です。

ロンドン時間はこれだけ大きなロンドン市場が開いている時間であることに加えて、中東やアフリカ、日本やニューヨークの市場も開いている時間帯なので、欧州の主要通貨である「ユーロ」「ポンド」だけでなく、様々な通貨の取引が行われています。

また、「ポンド」を中心とした値動きの激しさ、投資目的の市場参加者の多さや、金融商品との相関性、ファンダメンタルの要素と他の時間帯に比べても、色々な要素を含んているので、トレードをやるには、難しい時間帯でもあります。

しかし、しっかりロンドン時間いついて勉強すれば、その取引量の多さから、多くの利益を得ることができる時間帯でもあります。

せっかくFXをやるのであれば、多くの利益を得ることが出来るトレーダーこそが優秀なトレーダーと言えます。

しっかりロンドン時間について勉強して、ロンドン時間で勝てるトレーダーになりましょう。

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