FXの税金を6つのポイントに分けて解説|計算方法と節税対策も

「FXは副業で行っているので確定申告は関係ないだろう」
「FXで損失を出してしまったので納税をする必要はない」

FXの税金について、もしかしたらこのように考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、FXは副業であっても必ず確定申告が必要で、申告漏れはペナルティが課されます。また、たとえ損失が出ても、確定申告を行っておけば大きな節税効果になります。

このように、税金についての正しい知識がなければ、申告漏れによる課徴金が発生したり、節税のチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

今回は、FXの税金について6つのポイントから解説を行います。税金を正しく理解できていれば納税額を抑えられるなどのメリットも多いので、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

FXの税金基礎知識|6つのポイント

 

FXの税金については、次の6つのポイントを意識することが大切です。

  • 1.FXの税金は一律20%
  • 2.FXの税金は申告分離課税制度
  • 3.含み益に対しては課税されない
  • 4.FXに必要な経費が認められる
  • 5.年間20万円以下の利益だと非課税になる
  • 6.損失は以降3年間の損益通算が可能

 

仮に、FXで利益(為替差益やスワップポイント)が発生した場合は、必ず税金を納めなければなりません。納税を怠ると、加算税や延滞税などのペナルティが課されるため、FXの税金について正しい知識を押さえておきましょう。

上記6つのポイントについては、以下で詳しくお伝えしていきます。

1.FXの税金は一律20%

FXの税金は一律20%(正しくは20.315%)です。その内訳は、次のように住民税や所得税などによって分かれています。

  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 合計:20.315%

復興特別所得税とは、2013年~2037年までの間に、東日本大震災の復興のための財源として活用される税金のことです。

上記の通り、FXの税金は一律となっており、たとえ利益が少なくても多くても税率は変わりません。課税対象となるのは、毎年1月1日~12月31日分までの1年間で得た利益となります。

2.FXの税金は申告分離課税制度

FXの税金は、申告分離課税制度が採用されています。

申告分離課税とは、ほかの所得とは切り分けて税率を計算し、確定申告によって納税する方法のことです。FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、給与のほか、株式の配当所得、土地や建物の譲渡による所得などとも分けて税金を計算します。

たとえば、会社員の方であれば、自分の給与については会社側が確定申告の手続きを肩代わりしてくれます。しかし、副業でFXを行っている場合は、FXで得た利益分だけを自分で確定申告する必要があるのです。

3.含み益に対しては課税されない

FXの税金は、含み益に対しては課税されません。

含み益とは、利益が確定していない、通貨を保有(ポジション)している状態のことです。通貨の価格は日々変動するため、ポジションしているだけでも値上がり益が発生します。通貨を売却して利益が確定しているわけではないので、これを含み益といいます(値下がりした場合は含み損という)。

含み益に対しては税金が発生することはないため、ポジションを決済しない限り確定申告の必要もありません

ただし、為替の金利差益であるスワップポイントについては、取引する業者によって税金が発生することもあります。取引業者によっては、スワップポイントが毎日口座に反映されることがあり、その場合に限り納税が必要です。

スワップポイントの税率も一律20.315%となります。スワップポイントを毎日受け取る業者の場合、1年間の利益額を計算し、その金額に上記税率をかけた納税額を申告します。

4.FXに必要な経費が認められる

FXの確定申告では、取引に必要な経費の計上が認められています。FXの経費として認められているものは、次のような種類があります。

  • インターネット代などの通信費
  • FXや投資にまつわる書籍や新聞代
  • FXにまつわるセミナーや研修費
  • 売買手数料・入出金時の振込手数料
  • 筆記用具やプリンタのインク代などの事務用品費
  • EA(自動売買プログラム)やFXソフトの購入代金 など

上記の経費は、FXの利益から差し引くことが可能です。経費の金額が大きくなるほど課税額が少なくなるため、節税対策として役立ちます。

5.年間20万円以下の利益だと非課税になる

FXでは、1年間の利益額によって納税が免除されるケースもあります。会社員や専業主婦など、その立場によって非課税になるパターンが異なるため、以下をよくご確認ください。

  • 会社員:年収2,000万円以下で、給与所得・退職所得以外の収入が20万円以下
  • 専業主婦・学生:FXの年間利益が38万円以下(住民税は33万円以下)

会社員の場合であれば、給与所得や退職所得以外の収入がFXの年間利益にあたります。

 

ただし、FXの年間利益が20万円以下でも、給与や退職金以外の所得(株投資の利益や不動産の家賃収入など)の合計が20万円を上回っていれば、確定申告が必要です。また、住民税については、FXの年間利益が20万円以下でも、別途申告をしなければなりません。

扶養家族である専業主婦や学生の場合、FXの年間利益が38万円以下であれば非課税となります。これは、所得税の基礎控除が38万円で、利益がその金額を下回っていれば納税が免除されるからです。

一方、住民税の基礎控除は33万円となるため、納税が免除されるには、利益を33万円以内に抑える必要があります。

6.損失は以降3年間の損益通算が可能

FXで損失が発生した場合でも、確定申告を行うことで以降3年間の損益通算ができます。

損益通算とは、損失分を翌年以降に持ち越す方法です。たとえば、1年間で10万円の損失が発生した場合、以降3年間にわたってその10万円分を持ち越せます。翌年に50万円の利益が出たとしても、前年10万円分の損失で相殺して、課税額を40万円にすることが可能です。

ただし、損失が発生した年度分の確定申告を行っていなければ、この損益通算は適用できません。損失が出た場合でも、しっかりと税務署で申告を行っておきましょう。

FX税金の計算方法

FXの税金は一律で税率が決まっているため、その計算方法も非常に単純です。

【FXの税金計算方法】
(FXの年間利益 - 年間経費)× 税率20.315%

ただし、年間利益や経費などを正確に算出するため、取引履歴や収支データなどはしっかりと残しておきましょう。特に、複数のFX業者で取引するようになると、年間利益の計算が複雑になります。

FXの税金を節税する5つのコツ

FXでは、納税額をできるだけ抑えるための節税を意識することが大切です。以下でお伝えする5つの方法を使うことで、税金の負担を少しでも和らげることができます。

節税方法(1)利益と経費をしっかりと計上する

FXの節税のコツは、利益と経費の正確に計上しておくことです。

特に、経費に関しては正確な収支管理を行い、FXにかかった費用を出しておきましょう。FXで認められている経費は多いため、必要経費として計上しておくことで納税額を減らすことができます。

節税方法(2)夫婦で口座の名義を分ける

夫婦で別々の口座を使い分けることも、FXの節税対策の一つです。

夫が会社員の場合は20万円までが非課税となり、妻が専業主婦であれば38万円までの利益が非課税となります。FX業者によって口座の名義を変えておくことで、上記のように課税対象も分けることが可能です。専業主婦のほうが免税になる範囲が広いため、別々の口座を使えば節税に繋がります。

節税方法(3)スワップポイントの時期調整

節税方法の3つ目は、スワップポイントの時期を調整することです。

毎日スワップポイントが加算されるFX業者ではなく、ポジションを決済した時点でスワップポイントが反映される業者を選ぶことをおすすめします。後者だと、ポジションを決済しない限り税金が発生しないため、年間の納税額を少なくすることが可能です。

節税方法(4)損失繰越をうまく活用する

損失繰越を活用することも節税に繋がります。

FXの年間利益がマイナスだとしても、確定申告を行うことで3年間の損失繰越が可能です。仮に、1年に100万円の損失が発生した場合でも、以降3年間で利益100万円分を相殺できます。

節税方法(5)法人化する

本格的にFXを行う場合は、法人化するほうが節税に繋がることもあります。会社を立ち上げると、FX業者で法人口座を開設することができます。個人口座に比べ、法人口座だと次のような節税効果があります。

  • 経費として計上できるものが増える
  • 株式投資などと一緒に損益通算ができる
  • 損失繰越の適用期間が9年間に増える

【まとめ】FXの収益は必ず納税すること!

今回は、6つのポイントに分けてFXの税金を解説してきました。

会社員の場合は、年間20万円までの利益が非課税になる事情もありますが、基本的にFXで利益をあげると納税しなければならないことを覚えておきましょう。申告漏れがあるとペナルティが課されてしまうので、十分に注意してください。

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