FXで相場の値動きを予測するためには、過去の値動きの推移をグラフ化した「チャート」と呼ばれるグラフを分析する必要があり、チャートを分析することをFXの世界では「テクニカル分析」と呼びます。
そして「テクニカル分析」で利用する指標のことを「テクニカル指標」と呼び、世界でもっとも有名なテクニカル指標が「移動平均線」と呼ばれるテクニカル指標なのです。
移動平均線は非常に優秀なテクニカル指標であり、多くのトレーダーが利用しています。
そんな移動平均線について、このページで学べば、あなたもFXで勝てるトレーダーに近づくことでしょう。
一方で、もっとも利用されているテクニカル指標である移動平均線について学ばなければ、FXの勝率を上げることは難しいでしょう。
つまり移動平均線は、必ず押さえておくテクニカル指標だと言えます。
そこで今回はもっとも利用されているテクニカル指標である移動平均線について解説していきます。
また、移動平均線を使ったトレード戦略についても解説していくので、この記事を読み終われば移動平均線をトレードに利用することができるようになると思います。
ぜひ、以下で学んで実践してみてください。
移動平均線とは
移動平均線とは、ある一定期間の終値と、平均値を線で結んだテクニカル指標です。
当日を含めた過去の一定期間の通貨の価格を毎日計算するために、平均値が毎日変わっていくことから移動平均線と呼ばれています。
実際のチャートをご覧ください。
引用:みんかぶFX
このチャート上に紫色で表示されている線が移動平均線です。
移動平均線は過去の一定期間の価格から平均値を計算したテクニカル指標なので、価格の傾向や流れを判断する手がかりとなります。
移動平均線の見方
移動平均線は過去の一定期間の通貨の価格を平均化しているものなので、単純に上を向いているのであれば上昇トレンド、下を向いているのであれば下降トレンド、ほとんど水平方向を向いているのであればレンジ相場と読み解くことができます。
引用:みんかぶFX
このチャートでいくと白い矢印を引いた期間は移動平均線がほぼ水平方向なのでレンジ相場だと判断することができ、赤い矢印を引いた期間は移動平均線は上を向いているので、上昇トレンドだと判断できるのです。
このように移動平均線はその傾きから相場の方向性を判断することができます。
また、線の傾きと同時に見る必要があるのが、ローソク足との位置関係です。
移動平均線は過去の期間を平均化したテクニカル指標なので、ローソク足の上に来ているか、下に来ているかで現在のトレンドを判断することができます。
実際のチャートをご覧ください。
引用:みんかぶFX
左側の赤で囲んだところは移動平均線よりローソク足の方が上に来ています。
移動平均線よりもローソク足が上に来ているということは、過去の平均値よりも現在のレートの方が上に来ているということになります。
つまり、現在のレートの方が、過去の期間の平均値に比べるとレートが上がっているということになり、上昇トレンドだと判断することができるのです。
右の水色で囲ったところであれば、同じ考え方で下降トレンドと判断することができます。
また、このチャートのように右肩上がりにレートが上がっている相場をFXでは「強気相場」と言います。
反対に右肩下がりにレートが下がっている状態を「弱気相場」と言いますのであわせて覚えておきましょう。
ここまでお伝えした内容から、移動平均線の角度が急で、ローソク足が上に来ているときや下に来ているときは強いトレンドが発生していると考えることができますので、トレンドに乗って取引をするトレンドフォローを行うには絶好のチャンスだと判断することができます。
移動平均線の種類
移動平均線は、過去の一定期間の価格から平均値を計算したテクニカル指標と説明してきましたが、この期間をどれくらいにするかは、自分で設定することができます。
設定した期間が短い時の移動平均線を「短期線」、中くらいの期間で設定した移動平均線を「中期線」、長い期間で設定した移動平均線を「長期線」と呼び、それぞれ期間により特徴が変わってくるのです。
ここではそれぞれの期間について特徴を解説していきます。
短期線
チャート上に赤で表示され、ローソク足に絡みつくように表示されている移動平均線が短期線です。
引用:みんかぶFX
短期線は、日足でいうと1週間の市場が空いている期間が土日を除く5日なため、「5日」程度で設定するトレーダーが多いです。
短期線は平均を取っている期間が短いこともあり、現在のレートの影響を受けやすく、レートが急上昇、急下降することがあれば、それにあわせて短期線も動いてしまうのが特徴です。
短期線は、後述する他の期間の移動平均線と併せて使うことで初めて真価を発揮します。
中期線
チャート上に緑で表示されている移動平均線が中期線です。
引用元:みんかぶFX
中期線の設定はトレーダーにより設定が別れるポイントなのですが、「25日」前後の設定が多いです。
1ヶ月間の市場が空いている期間を考えると「25日」前後になるからです。
短期線より平均を取っている期間が長く、長期線よりは短いので中間の期間を表す移動平均線となります。
中期線一本でトレードを行うトレーダーもいるほど、一本でも十分に相場の流れが判断できる移動平均線です。
長期線
チャート上に水色で表示されている移動平均線が長期線です。
引用:みんかぶFX
長期線の設定は中期線以上にトレーダーにより設定が別れるポイントです。
トレードのスタイルがデイトレードなのかスイングトレードなのかで、必要な期間が変わってくるからです。
一般的には「50日」「75日」「100日」「200日」前後の設定が多いので、自分のトレードスタイルにあわせて設定しましょう。
ちなみに初心者であればデイトレードにもスイングトレードにも対応できる期間である75日にしておくと良いでしょう。
長期線は平均を取っている期間が長いこともあり、現在のレートの影響を受けにくく、レートが急上昇、急下降することがあっても、それにあわせて長期戦が動くことがなく、ゆったりした動きをしているのが特徴です。
長い目線で見たときにレートがどのような値動きをしているのかを判断するために最適な移動平均線となります。
「短期線」「中期線」「長期線」を同時に表示する
ここまでで「短期線」「中期線」「長期線」の3つの移動平均線を説明しましたが、これらを実際にトレードで利用するときは、3つ同時にチャートに表示するトレーダーが多いです。
同時に表示した時のチャートをご覧ください。
引用:みんかぶFX
このように「短期線」「中期線」「長期線」の3つの移動平均線を同時にチャートに表示させて、価格の変化を追うFX手法はジョセフ・グランビル氏というウォール街の著名な株式アナリストが考案した、もっとも一般的に利用されている移動平均線の表示方法です。
基本は中期線を利用して値動きを判断し、その中期線に対して短期戦と長期戦を加えることで、より精密に相場の方向性を判断することができます。
3種類の移動平均線
ここまで解説してきた移動平均線は全て単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)と呼ばれる移動平均線です。
移動平均線には単純移動平均線以外にも加重移動平均線(WMA:Weighted Moving Average)と指数平滑移動平均(EMA:Exponential Moving Average)と呼ばれる移動平均線が存在しており、見た目や見方は単純移動平均線と同じですが、単純移動平均線が過去の値動きの平均値を利用しているのに対して、加重移動平均線と指数平滑移動平均線は算出方法が違います。
加重移動平均線と指数平滑移動平均線は、単純移動平均線よりも直近の値動きを重視した移動平均線で、細かい値動きを判断できるので、緩やかな値動きをしている相場で利用されています。
加重移動平均線と指数平滑移動平均線は単純移動平均線が過去の値動きの平均値を利用する特性上、直近で大きな値動きが起こったときについていけないというデメリットを改善するために開発された移動平均線です。
加重移動平均線より指数平滑移動平均線の方がより、直近の動きにシビアに反応するようになっています。
3種類のどの移動平均線を利用するかは好みなので、初心者のうちは全て利用してみて一番自分が相場の方向性を分析しやすい移動平均線を利用することをおすすめします。
移動平均線を使ったトレード戦略
ここまでで移動平均線の見方や意味は理解できたと思いますが、移動平均線を利用してトレードで勝てなければ学んだ意味がありません。
そこでここからは移動平均線を利用したトレード戦略を解説していきます。
以下で学んで、実践してみてください。
ゴールデンクロス・デッドクロス
FX相場でレートが上昇するタイミングや下降するタイミング、言わゆる相場の転換点を見つけることがFXで勝つ方法の1つです。
今回お伝えしている移動平均線を使えば、相場の転換点を分析することができます。
この相場の転換点を「ゴールデンクロス」「デッドクロス」といい、移動平均線を使って、相場の転換点を割り出すことが可能なのです。
では、実際のチャートを見ながら、ゴールデンクロス、デッドクロスについて説明します。
引用:みんかぶFX
ゴールデンクロスとは短期線が長期線(中期線)を上に突き破ったポイントのことで、上昇トレンドの始まりになると言われているポイントです。
実際にこのチャートでゴールデンクロスが発生した後は、上昇トレンドが発生して、レートが上がっています。
つまり、ゴールデンクロスが起きたポイントは絶好の「買い」のポイントなのです。
引用:みんかぶFX
デッドクロスとは短期線が長期線(中期線)を下に突き破ったポイントのことで、下降トレンドの始まりになると言われているポイントです。
実際にこのチャートでデッドクロスが発生した後は、下降トレンドが発生して、レートが下がっています。
つまり、デッドクロスが起きたポイントは絶好の「売り」のポイントなのです。
このようにゴールデンクロスとデッドクロスは、トレンドを分析するだけでなく、エントリーするポイントを示すシグナルとしても利用することができます。
しかし、実際の相場ではゴールデンクロスやデッドクロスが出れば必ずトレンドが発生するわけではないので注意が必要です。
あくまで原則の考え方として覚えるようにしてください。
移動平均線の並びに注目する
移動平均線は、上から短期線・中期線・長期線と並んでいるときは非常に安定した値動きをしていると判断することができます。
そして、短期線・中期線・長期線と並んでいるときに、上向いていれば非常に安定した上昇トレンド、下を向いていれば安定した下降トレンドになります。
実際のチャートをご覧ください。
引用:みんかぶFX
このチャートでは短期線・中期線・長期線と並び、それぞれ下向きになっていることから非常に安定した下降トレンドが発生していると判断することができます。
実際にこのチャートでは移動平均線が綺麗に並んでから1日以上下降トレンドが継続しています。
このように移動平均線の「短期線」「中期線」「長期線」の並びに注目すれば、トレンドの安定性を判断することができるのです。
順張り戦略
移動平均線の「短期線」「中期線」「長期線」の並びに注目して安定したトレンドが発生していることが確認できたら、次はそのトレンドに乗ってトレンドフォローを狙いましょう。
安定したトレンドが発生しているということは、トレンドが継続する可能性も高くなるので、トレンドフォローをするのが最適です。
移動平均線をみてトレンドの流れが分析できたら、トレンドフォローによる順張りでポジションを持つことで勝てる可能性が高くなります。
サポートライン・レジスタンスラインとして利用する
上昇トレンドの場合に、相場がその水準を維持し、それ以上は下降しないと思われる水準(最安値)を繋いでいく線のことを「サポートライン」と呼び、逆に下降トレンドの場合に、相場がその水準を維持し、それ以上は上昇しないと思われる水準(最高値)を繋いでいく線のことを「レジスタンスライン」と呼びます。
移動平均線は時として、トレンドを発生させるポイントとなるサポートライン・レジスタンスラインとして機能するのです。
実際のチャートをみてください。
引用:みんかぶFX
このチャートでは中期線がレジスタンスラインとして機能してローソク足が反発することで下降トレンドが継続していましたが、15日の10時頃にレジスタンスラインとなっていた中期線をローソク足がブレイクして上昇トレンドが発生しています。
その後は中期線がサポートラインとなり、ローソク足が反発することで上昇トレンドが継続しています。
上述したゴールデンクロス・デッドクロスとあわせて、移動平均線をサポートライン・レジスタンスラインを見れば、より精密なエントリーのシグナルとして利用することができるでしょう。
長期線でトレンドの終わりを判断する
先ほどのチャートでは中期線がサポートライン・レジスタンスラインとして働いていましたが、長期線がサポートライン・レジスタンスラインとして働くこともあります。
長期線は長い期間で値動きを算出しているので、直近で多少の値動きが起きてもローソク足が長期線を突破することはあまりありません。
しかし、長期線をローソク足が突破するほどの値動きが起きたとなると、トレンド終了の大きなシグナルとなります。
移動平均線乖離率
FXで移動平均線を利用していると「移動平均線乖離率」という言葉を目にする機会があります。
「移動平均線乖離率」とは、移動平均線と現在のレートの間にどれだけ差があるかをパーセンテージで示した数字になります。
そして、どのような数値も理論上は平均値に収縮する習性があるので、過去の一定期間の値動きを平均化した移動平均線と現在のレートも離れすぎると元に戻ろうとする力が働くのです。
つまり、移動平均線と現在のレートがあまりに離れている場合は、元に戻る可能性が高いと言えるので、トレンドに逆らった「逆張り戦略」を取るとうまく行くことがあります。
しかし、逆張り戦略はトレンドに逆らうため失敗した時は、一瞬で大きな損をしてしまいます。
逆張りを行うときは慎重に行うようにしましょう。
【まとめ】移動平均線はテクニカル分析の基本
移動平均線は、FXの世界でもっとも利用されているテクニカル指標であり、FXをやるうえでは最初に学ぶ基本のテクニカル指標です。
しかし、移動平均線は移動平均線のみを利用して勝ち続けているトレーダーもいるほど有用性のある奥が深いテクニカル指標でもあります。
相場の方向性から、エントリーのシグナルとしても使えるので、FXをやるうえでは非常に役立つからです。
FXで勝ちたいのであれば、まず移動平均線をマスターすることが一番の近道となりますので、今回の記事を参考にして移動平均線をマスターしましょう。
そして自分の中で相場分析のベースを作ってFXで勝てるトレーダーになりましょう。
また、当サイトではFXで勝てるトレーダーになるためのノウハウをメルマガで配信しています。
ぜひメルマガにも登録してみてください。
コメントを残す